第四回 ふげん社写真賞 グランプリ受賞作品
守田衣利「Tidal」
あの暗い部屋にあったモニターの中で、
あなたの心臓が点滅していた。
それは船をむかえる港の灯台の光にも似て。
くりかえされる呼吸にそっと耳をすますと、
やすらかな夜がみちていく。
あなたの海のうねりがとどいて、
あなたの鼓動とかさなる。
ひかりのなか、わたしたちはいつも水ぎわをあるいた。
憂いもよろこびも、流れついては過ぎ去っていった。
どんなにつよい風がふいても、帰ろう。
たゆたえども沈まず。
守田衣利 Eri Morita
熊本県生まれ。国際写真センタージェネラルスタディース科修了。
『第7回写真新世紀』優秀賞、Tory Burch x ICP Fellowship他受賞。
主な個展に『Close your eyes, make a wish.』銀座ニコンサロン、
『Home Drama』SOHO Photo Galleryがある。
05年に写真集『ホームドラマ』上梓。カリフォルニア州に夫と猫二匹と在住。
飯沢耕太郎賞
中村 烈(フォトレツ)「92歳、タケの暮らし」
©︎Isao Nakamura
中村 烈(フォトレツ) Isao Nakamura
1980年5月6日 青森県八戸市出身、在住。
身近にありながら価値が未確定なモノをテーマに作品を制作。最近は「イタコ」や「オシラサマ」などの民間信仰・習俗を主に撮影しており、2023年にはイタコの口寄せをテーマにした写真展「GrandmaComesBack」をソニーイメージングギャラリーで開催している。
町口覚賞
宮地祥平「Future Family」
©︎Shohei Miyachi
宮地祥平 Shohei Miyachi
宮地祥平 (1989年静岡生) はコミュニケーション、アイデンティティ、パフォーマンスのテーマを中心に制作を続ける写真家である。School of Visual Artsより美術学士号 、Pratt Instituteより美術修士号を取得。
第四回ノミネート作品
岩本賢吾「Dialektik」
木全虹乃楓「ひびをすべて喰むころには」
コウ・レイエイ「彼のこと、今でも知らない」
島津啓「水沼」
中尾睦美「針の音」
長垣夏希「蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)」
中村 烈「92歳、タケの暮らし」
藤崎陽一「PHOTOGRAPHIC LETTERS」
宮地祥平「Future Family」
守田衣利「Tidal」