[第一回 ふげん社写真賞 総評]

  第一回目の賞の審査ということで、不安と期待とが相半ばする状態で臨んだのだが、審査会場で作品を見ているうちに、「これは大丈夫」と思えるようになった。172点という応募総数もさることながら、そのレベルがとても高い。最終ノミネートに残った10作品も、ほぼすべて、グランプリに選ばれてもいいレベルに達しており、甲乙つけがたいものだった。最終的に木原千裕さんの作品がグランプリに選ばれたわけだが、最後まで他の応募者になる可能性があったことを付記しておきたい。

 さて、ふげん社写真賞の選考において重要なポイントになるのは、展示だけでなく、写真集を制作するということだ。今回も、選考の過程でそのことが常に話題になった。応募作の中には、作品としてのクオリティは申し分ないが、写真集として形にするのがかなりむずかしいものもあった。その点、木原さんの作品は「東北のその地と知らないその人をひたすらに見つめ、世界に触れる道すじを繋ぐ」という意図が、写真の選択、配列にしっかりと貫かれており、まだ見ぬ写真集の像がくっきりと浮かび上がってくるものになっていた。その点が、最終的な決定に大きく作用したのは間違いないと思う。

 

 第一回目はとてもうまくいったが、写真賞はむしろ二回目、三回目と回を重ねながら成長していくことが大事になる。今回、惜しくも選ばれなかった人はもちろんだが、応募に至らなかった方たちもぜひ、力作、意欲作を寄せていただきたい。審査員として、次回も素晴らしい作品に出会えることを心から願っている。

飯沢耕太郎(写真評論家)
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「特別ではない誰か」だったからこそ写真を撮った、という木原千裕さんの作品を選考し、写真集にまとめることになった。

木原さんがふげん社写真賞に応募した写真は83点あった。

ぼくはその83点の写真を何度見返しても、木原さんにとって特別ではない誰かだとは思えなかった。

写真って、危ういですね。笑

特別ではない誰かと出会い、写真を撮り、その写真を他者に表出することだけで特別に見えてしまう危うい写真を、どのように写真集にまとめたらいいのか?

う〜ん、難題ですね。笑

でも、特別ではない誰かと〝出会う〟という木原さんの試みを、写真集に触れ捲り見る他者が感受し、繋がればいいじゃん!って、今は思っています。

木原千裕さん、祝!受賞!

町口 覚(造本家)

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ご応募いただきました172名分の熱量に圧倒されながら審査を進めました。

コロナ禍二年目の夏にこれだけ多くの人が写真集制作への意欲を示してくださったことに驚き、大きな喜びを感じましたが、同時に皆様の期待に恥じない賞に育てていくことの責任を今、むしろ強く感じております。

 グランプリの木原千裕さんの作品には、混迷する世界に愛を携えて 素手で立ち向かう人の勇気と孤独と希望の一筋の道が 神話のように示されていたと思います。一人の作家の綴った写真の束が、美しい花束のように未来を生きる糧となることを祈ります。

 渡邊 薫 

(渡邊美術印刷株式会社 代表取締役)

​第一回エントリー 集計結果

ふげん社写真賞第一回は172名の方にご応募いただきました。

応募者の性別、世代、居住地の割合を下記に発表いたします。

性別

世代

居住地